今日を摘む

ハガキでは間に合わないときの手紙ばこ。

同棲、解消しました。 その4「私の望むもの」

たった一時間の残業が心身に影響を及ぼし、うつ状態になって家事ができなくなった。
部屋も掃除する気力も無く、ほこりだらけの自宅は憩いの場所ではなくなった。
不都合な現実から目をそらすため、相方は酒量を増やして酩酊し、私は無理に外へと遊びに行くことで、ストレスのたまる自宅から逃げた。
全てのストレスを新東名高速にぶつけ、好きな音楽に一人でどっぷり浸ることでしだいに鬱は寛解した。
ボーナスの50万円を使い果たして。

 

 


新しい先生が来て下さり、私の残業もほぼなくなり、生活リズムは元にもどった。
しかし、変わったものが完全に元に戻ることはない。

 


今後同じようなことがあっても、私は相方に家事を頼むことはできないし、相方も進んで私を助けようとはしないだろう。
互いが互いのセーフティネットにならない以上、パートナーにはなれない。

 

 


それを実感するとともに、私が望むものも見えてきました。

 

 

 


年が明け、新年度からは非常勤講師として働くことになりました。
収入は常勤講師の時より減ってしまうけれど、昨年度の心労が残っていた私には合っていました。
週4日の勤務と土日のアルバイトで、まあなんとか生きられる程度の給料を稼ぐ日々。

 


学校の仕事は午前だけの日も多く、空いた時間はごろごろして過ごしました。
ゲームの実況を見て、目が疲れたら眠って、起きたらおやつを食べて、夕方には自分の分の晩ご飯を作る。

 


のんびりした時間を過ごしながら、少しずつ気持ちも回復していきました。
物語を楽しむ余裕が出てきて、ドはまりする作品もいくつかありました。
特に、『霧雨が降る森』と『バイオハザード リベレーションズ』にはまりました。

 


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『霧雨が降る森』はストーリーがものすごく良くて、漫画と小説もしっかり読破。
ほんわかする二人が見たくて、ひっさびさにピクシブで二次作品を検索しました。
……ハッピーエンドではないけれど、私は2ndエンドが好きです。

(なんと今はスマホアプリでもできるよ!)

 


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バイオハザード リベレーションズ』は実況を何回か見たあと、相方のPS4を借りて実際に自分でプレイもしました。
バイオシリーズは小学生の時に友だちの家でPS1の2をやった以来です。
当時はただただゾンビが怖くて、泣きながらハンドガンを撃ち尽くしていました。


……メーデーさんに10回くらいやられたのも、今ではいい思い出です。

(PS4のダウンロード版は3,000円ちょいぐらいで買えるよ!

ゴーストシップを探検するのですが、雰囲気がめっちゃ怖いので、”ホラー”なバイオがやりたい人におすすめです)

 

 


主体的に関連作品を集めたり、自分でプレイしたり。
積極的に行動が起こせるようになったのは5月くらいだったでしょうか。
物語が好き、ということを思い出せるようになりました。

 


同時に、相方は物語に対して思い入れがないということも受け止めなくてはなりませんでした。

 

 


その年に見に行った映画でも、意見の対立というか、対立にすらならない瞬間がありました。


『天気の子』では、相方は「拳銃を手に入れるなんて非現実すぎてありえない」といって、そこから感想が進まない。
わたしがいくら「拳銃は『偶然手に入れた力の象徴』で、陽菜の力と対をなすものではないか」と伝えても、ありえないモードに入った相方は聞く耳を持たない。
相手の意見を聞かないので、議論にすらならず、「この映画はつまらない」という決めつけで終わり。

 


『劇場版 ガールズ&パンツァー』を見たときも、「戦車は血と泥と硝煙にまみれてこそのもの。女の子が部活感覚でキャッキャして乗るものではない」という持論に阻まれました。


もちろん、それは正しいです。
戦車の持つ負の側面を抜きにして戦車は語れない。そういう方も大勢いると思います。
でも、そういったリアルをいったん置いておいて、「戦車×女の子×チーム戦」という要素を掛け合わせることで何ができるか? というチャレンジの果てがガルパンなんです。
もしもの世界なんです。


……しかし、わたしがどれだけガルパンが「多数のキャラクターがそれぞれの見せ場を持ちながら、ファンが一番見たい形でまとめ上げられた最高のエンタメ」だと力説しても、彼の持論の前では一切が無に帰します。

 

 


家でレンタルの映画を一緒に見ていても、相方はすぐに寝てしまうので、実質一人で見るのと変わらない。
アイドリッシュセブンにはまったのも、相方が「このPVすごいよ」と教えてくれたからなのですが、ストーリーを見ていない相方とは同じ熱量での会話はできない。

 

 


わたしは物語に対して真摯でいたいし、隣にいてくれる人にはそれを認めてほしい。
同意はしなくてもいいから、理解をしてほしい。
「その考え方も分かるけど……」と、受け入れてほしい。

 


多くの人は「趣味はそれぞれで楽しめばいいし、相手に理解を強要するのは筋違いなのでは?」と思うでしょう。

 


でも、わたしはそれがやりたい。
いちばん一緒にいる人と物語について語り合いたいし、理解してほしい。
一緒に物語を楽しみたい。

 


……この人といても、わたしの望みが叶えられることは永遠に無い。

 

 

 


ちなみに、相方の趣味はスマホゲームです。
いわゆるパズル型のもので、クリアスコアによってレアアイテムやレアカードがもらえるタイプのものです。
わたしも勧められてプレイしましたが、ストーリーが無いので一瞬で飽きてしまいました。Aのカードをゲットするために素材集めをしたり、周回プレイをしたりなどに情熱を持つことができなかったのです。


ついでにいうとガチャシステムも肌に合いませんでした。
ガチャ用の石をがんばって一週間かけて集めても、お目当てのカードが出なかったりして一気に熱が冷めてしまいました。

 

 


私と相方が意気投合できるのは、ライブやイベント、旅行などの非日常でだけ。
日々の日常に必要な助け合いはない。
私がいちばん欲しい、「映画やアニメなどの物語を一緒に楽しむこと」もできない。

 

 


少し前に、
「『私が好きなのはあなたがくれる食事やドライブの時間であってあなた自身じゃなかった』と言われて別れた」
というツイートがあがっていたのですが、私はとても共感しました。

 


私がもしあの時同棲を解消しなかったとしても、コロナによって非日常が封印されてしまったら、遅かれ早かれ同じ道をたどっていたでしょう。
私が求めているのは、私が日々楽しんでいる物語や作品について、一緒に楽しんでくれる人だったのですから。

 

 


長い長い時間がかかったけれど、その年の9月、同棲を解消する決心をしました。