今日を摘む

ハガキでは間に合わないときの手紙ばこ。

万年筆について その1 出会いへん


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最近はラジオ代わりにYouTubeで筆記具関連のチャンネルを流してます。
よく見ているのは、


・かほブログ。さん
・しーさーSeasar さん
・元筆記具専門店スタッフえもちゃんねるさん
・il Duomo(イル・ドゥオモ)さん
・文具王(高畑正幸)さん


です。


かほブログ。さんのチャンネルは近所の文具好きのおねーさんの近況をのんびり聞くイメージで。
しーさーさんのチャンネルは、木軸シャーペンや高級筆記具関連をピンポイントで見たいときに。
えもちゃんねるさんの動画は往年のニコ動の雰囲気があり、重度のニコ厨だった私にとって懐かしい感じ。
元業界人ということもあり、OEMの話などとっても興味深いです。
il Duomoさんは文具店のオーナーということもあり、万年筆についての説明動画がとてもわかりやすいです。
文具王さんはさすが文具王……! といった感じですね。
文具はもちろん、デザイン関連の話しなど、膨大な知識を惜しみなく披露してくれます。

 

 


いろんな方の文具話を聞いていると、自分のことも書きたくなるのが人間です。
今回は万年筆に絞って書いていこうと思います。

 


私と万年筆 出会いへん


1本目:LAMY サファリ


就職して半年ほど経った頃、「万年筆ほしい!」という欲求にかられ、楽天でポチりました。
しかし、残念なことにこのとき買ったサファリ、不良品だったのです。
本体に付いてきたカートリッジインクを使ってみたのですが、ぜんっぜんインクが出ませんでした。
結構わくわくしながら手に取った一本だったので、予想外の出来事に出鼻をくじかれ、当初の欲求はしゅるしゅるとしぼんでしまいました。

 


二本目:雑誌DIMEの付録の万年筆


(nanoユニバースじゃなくて、2013年のほう)


もともと父がDIMEを買っていたので、雑誌の存在はもともと存じていました。
たまたま本屋を通りかかったら、なんと雑誌の付録で万年筆がついてくる! ということで思わずお買い上げ。


一本目が思わぬ結果に終わったため、これが私の初・万年筆になります。
この付録の万年筆ですが、結構使いやすかったです。
インクフローがよく、筆記した後のインクが一瞬ぬらっと光るのもいい!


付属していた二本目のインクカートリッジも使い倒し、結構気に入ったのでこのまま普段使いにしちゃおうと思ったのですが、換えのインクがどれなのか分からず、詰んでしまいました。
当時の私の検索技術では、どのメーカーのインクと互換性があるのか、全く見つけられませんでした。

 


3本目:KAKUNO(パイロット M)


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2本目の万年筆も、これから仲良くしようぜ! ってところでまたしてもお別れになってしまいました。
そんな中、文具コーナーを賑わせているあの子と出会います。


今ではすっかりおなじみになった、1000円で買える万年筆・KAKUNO(カクノ)です。
試筆もいい感じだし、値段も安いしってことでお買い上げ。


カクノはデフォルトで黒とブルーブラックのカートリッジインクがついてきます。
DIMEの万年筆は黒だったので、ブルーブラックのほうを使うことにしました。

 


日記を書いたりプチ論文を書いたり、主に自宅で使用しました。
インクフローもよく、本体も軽いのでさらさらといつまでも使っていられます。


しばらく放置してインクが出なくなったときもありましたが、一晩水につけたらなおりました。
今も現役でよく使う1本です。

 


4本目:キャップレスデシモ(パイロット)


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家での筆記具としてカクノが定着したため、次は職場で使える万年筆を探すことにしました。
ちょうど教職に転職した年だったので、これからの意思表明もかねて、いいやつを買うことにしました。


職場でさっと取り出して、さらさらっと使えて、なおかつカッコいいやつ!
予算は2万円くらい。
回転式のキャップは回すのが面倒くさいので、それ以外がいいなー。

 


さっそくサーチを開始しました。
調べ始めると、万年筆というカテゴリーに収納されている情報の多さに圧倒されました。
10万越えの万年筆もざらにあり、買いはしないけれど見ているだけでもお腹いっぱいになります。


このままだとジャムの法則で万年筆を買うこと自体をやめてしまう…!ってなったため、初心に帰って自分の欲求を見つめ直すことにしました。


先ほど、回転式のキャップは好きじゃない、と書いたのですが、実はキャップ自体好きじゃないんですよね。
持っているボールペンは全てノック式だし。
しまうときにキャップ式だと両手使わないといけないし。
筆記中に紙を動かすと、放置したキャップに当たって転がっていっていらっとするし。
そんな私のわがままを叶えてくれる万年筆が、なんと一つだけあったのです。
(まだ、キュリダスの出てない時代です)

 


パイロットが出しているノック式万年筆、キャップレスです。
しかも、2015年の限定モデル「絣(かすり) ホワイト」がめちゃくちゃかわいかったのです!
絣模様が真っ白なボディをやや緩和していて暖かみがあります。
しかもこの絣模様、ちょっとだけ浮き出ていて、滑り止め効果もあるんです。
実利を兼ねた美しさに一目惚れしました。


しかし、この子は2万円…!
一目惚れでぽいっと出せる金額ではない。


まずはデメリットも含めて情報を集めることにしました。
といっても、デメリットはほぼありませんでした。


唯一あったのが、筆記中にクリップが指に当たることでした。
ノック式万年筆は、胸ポケットで保管したときにペン先が上向きになるよう、クリップがボールペンとは逆向きについています。
そのため、持ち手の部分にクリップがにょきっと出ているデザインになっています。
筆記中にクリップが指に当たるのが気になる、という意見もあれば、「万年筆の正しい持ち方をアシストしてくれる」という意見もありました。


こればっかりは触らないと分からないなーってことで、ちゃんと文具専門店に赴いて試すことにしました。
試した結果、個人的にはこの出っ張りがあるからいい! という意見に落ち着きました。
インクもいくつか試し、色彩雫の竹炭に決定。

 


5年ほど使ってみて、改めてこの万年筆についてまとめてみました。


1 ノック式はいい!
2 やや重い
3 クリップがあるので疲れにくい

 


1 ノック式はいい! どこでもすぐに使える!


ボールペンのノリで使える、これが何よりすばらしい!
片手で取って片手でノックして、片手でしまうことができます。
左手がふさがっててもオッケーなので、左手で本を開きつつ、右手でデシモを取り出してメモする、というのもできちゃいます。


2 やや重い  

本体は30グラムだけれど、キャップがない分重さが全て手にかかる


30グラムという重さは決して重たい方ではないです。
しかし、ほとんどの万年筆はキャップと本体を合わせた「総重量」が30グラム程度なので、キャップを持たないデシモは相対的に重く感じてしまうのです。
特に、私は万年筆のキャップをお尻にささない派なので、キャップ分の数グラムの重さでさえ重量感を感じます。


まあ、1時間くらいの筆記なら気にならない重さなので、職場で気合いを入れるときに使っています。

 


3 クリップがあるので疲れにくい 

クリップがあるから、親指と人差し指がおしくらまんじゅうしなくて済む


カクノなどの持ち方をアシストしてくれるグリップを握るとよく分かるのですが、筆記具を正しく持つと、親指と人差し指のあいだに2、3ミリ程度の隙間ができます。
この隙間がないと、親指と人差し指がぴたりとくっつしてしまい、余計な力が入ってしまいます。
おしくらまんじゅう状態になるのです。


デシモはボディがスリムだし、本体が金属なので手汗で滑りやすい。
やや重めなところも、指先のスリップを加速させます。
そこで、このクリップが真価を発揮するのです!


中心部にあるクリップが、ちょうど親指と人差し指の指置き場になってくれるのです。
また、丸形ボディの万年筆の場合、慣れていないと指のポジションをどこにすればいいのか迷ってしまいますが、そんなときもこのクリップが目印となってくれるのです。

 


キャップレスデシモのいいところばかり書いているので、欠点を一つだけ。
デシモには、ペン先を乾燥から守るため、シャッター機構というものがついています。
3年くらい使ったころ、私のデシモのシャッター機構が壊れてしまいました。
(シャッターが閉じなくなってしまった)

 


しかし、誤解しないでいただきたいのですが、これは決して「デシモが軟弱」なわけではありません。
購入した文具屋さんで診てもらったら、「こんな壊れ方は初めてみた…」と言われました。
おそらく、私がデシモを手帳の横にぶっさしたほぼ生身の状態で持ち歩いていたことが原因だと思われます。


カバンの中で財布やら弁当箱やら文庫本やらにばっこんばっこん当たってしまい、シャッター機構がいかれてしまったのでしょう。
なにが言いたいかというと、「いくら手がるに使えても万年筆は万年筆!」ということです。万年筆は精密器具なので、丁寧に扱ってあげてください。
(欠点ではなく、ただの注意事項ですね)

 


ちなみに、シャッターが閉じなくなってしまったデシモですが、文具屋さんと相談した結果、「ちゃんとペン先は出し入れできるし、本体は問題なく使える」ということで、そのままガンガン使っています。
若干インクが乾きやすくなった気がするけど、ほぼ毎日使っているから無問題!

 


……キャップレスデシモについて熱く語っていたら、またもや欲しくなってきました。
木軸のキャップレスは26グラムと普通のデシモより軽いので、普段使いにいいかもしれない!

 


次回、インク沼に片足をつっこむ! です