今日を摘む

ハガキでは間に合わないときの手紙ばこ。

万年筆悲喜こもごも

 

去年の秋に憧れのスーべーレーン様を購入し、万年筆沼度がますますアップしたわたくし。
良いこともアレなこともあったので、三つほど記しておこうと思います。
お題はこちら。

1 憧れのスーべーレーン様
2 IWIさん、きみ、不良品ではないのかね?
3 これが紙沼ってやつか…!

 

1 憧れのスーべーレーン様


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お店で試し書きをさせてもらったとき、私の右手に衝撃が走りました。

「なにこのとろける触感……! メルティーキッスか!?」

ヌルサラ感を至上とする私にとって、スーべーレーン様の書き味は衝撃でした。
万年筆欲しいけど、今は財政がピンチだから適当に国産の金ペンでにごしておくか…っていう気持ちでお店に行ったのに、気づいたら購入を堅く決意していました。

最初の一本はやはり王道の緑ボディ。軸はM600です。
M800とも迷ったのですが、私の手には微妙に重たかったので、M600にしました。
インクもペリカンで合わせて、ダークグリーンをチョイス。

スーべーレーンはボディもカッコいいですよね!
しましまのラインがモーニングのズボンみたいで、シックなおじさま感があります。
緑ボディは光にかざすと中のインクが透けてキラキラします。

緑のスーべーレーンをライトにかざすと、『耳をすませば』で雫がエメラルドの原石をおじいさんに見せてもらうシーンの再現が出来ます。
ライトでキラキラするやつ。
(いらん情報でしたね)


……とまあ、外観は完璧なのですが…。
私、このスーべーレーン、M字幅で買ったんです。
F字も試したんですが、ヌルサラ感がより感じられるほうがいいなってことで、M字を選んだんです。
字の太さは気にしないから~って。
……思ったん、ですが…。

まさかここに大きな落とし穴があるとは…。


海外字幅のM字は太いだけではなかった

日本のより海外の万年筆の方が、同じM字表記でも字幅が太い。
これは多くのサイトさんでも言われていますね。
しかし、海外万年筆のM字は、字幅が太いだけではなかったんです。

字幅(イリジウム)がデカいってことは、いらんところもデカい。
つまり、イリジウムについているスリット(ペンの割れ目)を紙面に当てづらいのです。
単刀直入に言うと書きづらい。書けない。

イリジウムがデカいので、常にベストな角度で使っていないと、すぐにスリットと紙との接地面がずれてしまい、ただ金属の球体を紙に押し当てているだけになるんです。
要は空振りです。

まあ常にベストな角度で万年筆を使えてればいいのですが…スーべーレーン様には三角ポジション(持ち方サポート)がついていないので、すぐに持つ場所がずれちゃうんですよね。

幸い、販売店さんと相談してイリジウムを調節していただいたので、どんなスピードで使っても空振りすることなくインクが出るようになりました。
削った分、若干ヌルサラ感は減りましたが、致し方ありません。
私にとって万年筆は、書き味<実用性なので。


私が言いたいのはここからです。

……なぜ、私はこの情報を前もって見つけられなかったか、です。
「海外万年筆のM字買ったら書きにくくて後悔した」という情報になぜ私は辿りつくことができなかったのか。

四万以上の買い物で後悔した…っていうことを口外したくない気持ちは分かります。
いやでも後人のために、あの、情報をだね、残しておいてほしかったというか。
ネットの海にあふれる万年筆サイトは大体ステマってこのことか…っていう。

いやー…、結構事前に検索したつもりだったんだけどなあ。
ちなみに、「太い字幅はイリジウムがデカすぎて筆記時に邪魔になる」というのはえもちゃんねるさんの動画で知りました。
ちょうど、スーべーレーン様を買った少し後にこれについての動画が出たんだよね…。
あと、一週間早かったら…!

(裏を正せば、マイナス情報をしっかり開示してくれるえもさんのチャンネルは信用できます)

まあ、スーべーレーン様は欲しいカラーが他にもあるので、また買うと思います。
今度はF字で!!


2 IWIさん、きみ、不良品ではないのかね?

のど元まで出かかったこのフレーズ。
こちらは過去記事でも紹介したことのある「IWI Safari」シリーズの孔雀です。

IWIは台湾のメーカーです。
このSafariシリーズは「野生動物」をテーマとして、様々な動物ごとにデザインされた万年筆です。
一言で言うとはちゃめちゃにカッコいい万年筆です。

買った当初からインクが出づらかったのですが、使っていくうちに研磨されていくだろう、と思いながら一ヶ月くらい使い続けてみて、やっぱり好転しなかったのでお店で診てもらうことにしました。

お店で診断されたことが、

・めちゃくちゃペン先の閉じがキツい
  (これ、本来の字幅であるEFよりほっそいんじゃない?)
・ペン先のスリットの切れ目が3対7、いや2対8の割合で差がある
  (あなたは若干内巻きの持ち方だから一応使えてるけれど、逆だったら…)
・何このコンバーター!? インクが出ないんだけど
  (私もそれ思ったー!)

とまあまあまあまあ。
いやこれ不良品じゃね? って思いました。
ギリギリ口には出さなかったけれど。

特にペン先のスリット割合が2対8ってところ。
普通、5対5ですもん。
いくら万年筆が通常の工業製品より個体差が激しくなりやすいとはいえ、それ売っちゃだめなレベルなんじゃない!? という。

まあ、この万年筆もお店で調整してもらい、普通に使えるようにはなりました。
ちなみに、かかった費用はこちら。

Safari本体  4,400円
・万年筆調整代 5,500円
・カヴェコミニコンバーター代 770円

           計 10,670円

え、本体代の倍かかってるじゃんって?
しょうがない、イケメンに金がかかるのは世界の真理なんやって…。

ほんと、デザインはすばらしいんだってデザインは……!

同じ台湾のメーカーであるツイスビーは書き味で困ったっていう話は聞かないのに。
むしろツイエコサイコー! っていう意見をよく見る。
私も欲しい、ツイエコ。


3 これが紙沼ってやつか…!

普段はキャンパスノートのA罫を使っているのですが、棚の奥からツバメノートが発掘されまして。
ツバメノートってなんか万年筆にいいらしい(?)し、使ってみるか、と試すことに。

しかし、私にとっては思わぬ結果となりました。
ツバメノートは「フールス紙」というものを使用しているそうなのですが、この紙だと万年筆のインクがにじまないんですね。
しかし、ほんっっっっの少しなんですが、万年筆で書くと抵抗があるんですよね。
イメージで言うと、

キャンパスノート → サラサラ
ツバメノート   → カリカ

って感じです。
私は万年筆愛好家には二種類のタイプがいると考えていまして、

1 美文字丁寧タイプ
2 俺のスピードについてこいタイプ

私は2のタイプです。
とりあえずしゃしゃしゃっと書く。
字なんて自分が読めりゃあいいんだよ! っていう感じ。
私の思考スピードについてきてもらうため、万年筆はのペン先はゲーセンホッケーのディスク並みに滑って欲しいタイプです。
(あの筐体、最近見なくなりましたね…)

ツバメノートはカリカリ系かあ、私には合わないなあ。
残りページどうしようかな、と思案しながら適当に右手を動かしていたところ、あることに気づきました。

ツバメノート、絵を描くのに向いているのでは!?

適度な抵抗、にじまない紙質、消しゴムに負けない強度…!
シャーペンでも万年筆でも、いい感じに線が乗ってくれる気がします。

ははあ、なるほど。
これが紙沼というやつか…!
しかも用途に合わせて道具を選ぶってカッコよくない?
プロっぽくない?


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こちらは万年筆+水筆でぼかしたシャオヘイ。
(ツイにも上げたやつ)
わりとかわいく描けたのでお気に入り。

使用画材はIWI Safari鶴舞ブルー)です。
さすがツバメノート。
多少の水にはへこたれません。
ちょっとボコってなるけど、普通のノートに比べたら全然大丈夫!

ロシャオヘイセンキは14回目を突破!

まだまだ見に行くよ!

 

最後に

ところで『趣味の文具箱2021年1月号』はごらんになりましたか?
なんと、パーカー51の復刻品が出るんです!!

フーデッドニブちょうカッコいい!!
ティールブルーすっごいきれい!!

パーカーのボールペンは持ってるけど、万年筆は持ってないんですよね。
私もこれを機に矢羽根デビューしようかな…!

 

みんなのツバメノート (TJMOOK)

みんなのツバメノート (TJMOOK)

  • 発売日: 2021/01/15
  • メディア: 大型本
 

おまけ。

今日発売なんだって!