チャイニーズ・ドリームに想いをはせる ー"正しい"が決められた世界でー その2 民主主義の限界と共産主義の未来
前回「1 現在の中国ー経済発展ー」へんでは、中国がつけてきた基礎体力、"経済"についての考察を述べました。
国家主席の鶴の一声で外資企業を閉め出し、中国は他国から利益をかすめ取られない安全な経済圏を手に入れた。
まあ、真の目的は情報統制とか思想統制のためだと思うのですが、結果として自国の経済を守ることにつながったんですよね。
現在、中国のGDP(国内総生産)は世界第二位。
アメリカを抜かすのではないかといわれています。
ちなみに、日本のGDPは第三位です。
しかし、三位以下の数字に意味はありません。
なぜなら、世界の投資をGAFAなどのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が牛耳っている以上、他国が二位以上にのし上がることはないからです。
投資とは、富めるものがますます富み、持たざるものはますます奪われる仕組みです。
世界中の企業に投資し、配当利益をせっせと集めるGAFAと他の企業の富の差は開くばかり。
決して追いつくことはないでしょう。
大番狂わせの可能性を秘めているのはただ一つ。
GAFAの利益搾取の腕から守られている中国企業です。
中国は共産党という大きな傘に守られている。
傘の外にいる私たちはこんなふうに思います。
「でも、中国って一党独裁の国でしょう?
自由のない国って窮屈なんじゃないの?」
きっと、彼らはこう返すでしょう。
「民主主義? 自由の国アメリカ?
……それってもう死語でしょう?」
実は、私たちが当たり前のように信じてきた民主主義も、一つの限界を迎えているのです。
いま私たちの世界に何が起こっているのか。
何を信じていけばいいのか。
そこを掘り下げて行きたいと思います。
チャイニーズ・ドリームに想いをはせる
ー"正しい"が決められた世界でー
その2 民主主義の限界と共産主義の未来
〈もくじ〉
1 民主主義とは何か?
2 民主主義×ポピュリズム=バズればよし!
3 汚職撲滅キャンペーン
4 "正しさ"の果てに
1 民主主義とは何か?
「民主」とは主権が国民にあることを指します。
簡単に言えば、国家という大きなモノを運営するのに、誰か一人の意思で決めてしまうのではなく、大勢の意見をもとにして決めるということです。
大勢でものごとを決めるとき、無意識に前提となっていることがあります。
「教養を備えた市民が選挙で正しい選択をする」
(『上海フリータクシー』より抜粋)
これは中国に住む女性:アシュリーの言葉です。
彼女は共産党関係の家系の生まれです。
つまり、生まれたときから成功が約束されている、特権階級の出身です。
彼女は中国におけるエリート街道を突っ走ります。
アメリカに留学し、中国とは違う民主主義の世界に憧れを抱きます。
しかし、トランプ政権が発足し、彼女の理想は崩れ始めます。
彼女の言葉はこう続きます。
「人びとに権利を与える場合、愚かさに直面することも覚悟しておかなければなりません。だって、大半の人は無知ですから」
トランプ政権のアレコレ(オバマ政権が盗聴していたといういちゃもん、FBI長官の解任、パリ協定離脱…)を目の当たりにし、アシュリーは自分の考えを改めます。
自分は民主主義を過大評価していた、と。
「民衆は信頼できる、という点。それは嘘でした。みな生まれながらにして平等だとか、平等に扱うべきだという十八世紀の考え方は全部すてきで、とても思いやりを感じますが、現実からは乖離しています。明らかにみな生まれながらにして平等ではないし、物事に対して持つ意見もほとんどが社会的地位によって決まってしまう。みんな自分の運命を自分で決める力を持ってほしいとは思う、けれどもそれは常に正しいわけじゃない。しかしまた、みんなの運命を誰かが決めるというのも正しくない。とうわけで、わたしたちはいつだってジレンマのなかにいるのです」
民主主義は一歩間違えれば衆愚政治になってしまう。
そこに追い打ちをかけるように、世界はポピュリズム(人気取り)に舵を切っていきます。
2 民主主義×ポピュリズム=バズればよし!
「人が集まればなんだってできるわ
商売も、宗教も、戦争もね。数は力よ」
(『黒執事』113話より)
数の力。
それが最も発揮されるのが選挙です。
アメリカでは、自分の陣営から大統領を出すか出さないかで人びとの人生や生活が一変してしまうそうです。
自分の陣営から大統領を出すとどうなるか?
一言で言うと「むちゃくちゃ儲かる」のです。
人が集まるところに商売が生まれるように、アメリカの大統領選挙では人気を集めるために選挙コンサルタントがさまざまな戦略を考えます。
全くのウソは公職選挙法違反になってしまいますが、多少の脚色は誤差の範囲なのでしょう。
魅力的なキャッチフレーズ、同情をさそうバックグラウンド、栄光へと向かうストーリー。
候補者はハリウッド映画の主人公のように、あらゆる伏線を仕掛けて国民的スターに仕立て上げられます。
選挙の世界もそうですが、日常生活でもこういうところってありますよね。
「ウソかホントかなんてどうでもいい。
とりあえずバズりゃいいんだよ!!」ってところ。
SNSの台頭と関係があると思うのですが、なんでもいいからとにかく人の視線をあつめる。
それがお金に直結するんですよね。
これは私の個人的な体感なのですが、インターネットのステマサイト、めっちゃ多くないですか?
私の好きジャンルの一つ、万年筆では特にそう感じます。
私はペリカンのスーべーレーンを購入する際、かなりネットで検索をかけたんですね。
「ペリカン」「スーべーレーン」で検索すると、上位に出るのは「おすすめ万年筆5選!」とかのアフィリエイト付きのステマサイトか、文具屋さんの商品紹介ブログです。
個人が書いた記事ってなかなか出ないんですよね。
2,3ページさかのぼっただけではまったく出てきません。
ただの商品紹介記事しか出てこない。
これの何が問題かというと、ネガティブ情報がまったく出てこないということです。
ペリカンのスーべーレーンは世界一売れている万年筆といっても過言ではない。
つまり、ユーザー数がダントツに多い。
なら、ネガティブ情報も数多く上がっているはず。
……つまり、スーべーレーンのM字幅は書きにくいからやめとけっていう情報が多く上がってなければおかしい! ということです。
(え、まだ根に持ってんの?? という感じですが、統計的には私と同じ失敗をした人が多くいるはずなんですよ。
その人たちの情報がまったく見えてこないくらい、ステマサイトやらなんやらが多いってことなんです)
話をまとめると、
「アフィリエイトなど、人びとの視線を集めることがお金につながるため、
上澄みだけをさらっただけの情報ペラペラのサイトがくらげのように
ネットの海を覆い尽くしている」
情報の質なんてどうでもいいから、とりあえずウケそうな記事作ってネットに投げとけ! みたいな。
…なんというか、
「自由だったはずのインターネットが自由なものではなくなった」
という感じがします。
視線泥棒のハイエナのたまり場って感じ。
そして、私がステマサイトの情報を鵜呑みにしてしまったように、多くの人は情報の吟味などしないのです。
民主主義の暗黙の前提である、
「教養を備えた市民が選挙で正しい選択をする」
という考え方。
それは幻想なのです。
しっかりと情報を吟味し、その情報が妥当かどうかあらゆる方面から確かめる人もいるでしょう。
しかし、多くの人びとはそうではありません。
過激な言動に扇動され、簡単に流され、作られた虚像に熱中してしまうのです。
民主主義は国民一人一人の意見を取り入れた公平な政治制度である。
と同時に、
「デカい声を上げて愚民の視線をかき集めたほうが勝つ、品のないイス取りゲーム」
でもあるのです。
なお、第二章はほとんどこの本からの受け売りです。
ちなみに、こちらもさっきの本と同様、石田衣良さんの推薦本です。
3 汚職撲滅キャンペーン
「民主主義はポピュリズムというただの人気取り合戦に堕ちた。
その果てがトランプ政権やブレグジットなら……
民主主義なんて、いらない」
民主主義は全ての人があこがれるほど良いものではなかった。
なら、共産主義はどうなのか?
中国の人たちは一党独裁を良しとしているのか?
ここでキーになるのが習近平です。
ー衆愚政治とカリスマ独裁者、どっちがいい?ー
習近平(しゅう・きんぺい)
1953年生まれの67歳(2021年5月現在)
第五代 最高指導者(2012年~)
第五代 中国共産党中央委員会総書記(2012年~)
第七代 国家主席 (2013年~)
・
・
・
他にも様々な役職があるのだが、一言で言うと2012年頃から中国のトップに立った人、である。
習近平の功績は主に三つ。
1 腐敗撲滅キャンペーン
2 貧困緩和
3 一帯一路
1 腐敗撲滅キャンペーン
2013年1月より、「虎もハエも同時に叩く」をスローガンにすえ、役人の汚職摘発を強化した。
中国の官僚は汚職が多い。
宦官の時代から中国と汚職は切っても切れない。
もはや名物だ。
一応、習近平登場以前にも腐敗撲滅運動は行われてきた。
1950年代初頭の「三反五反運動」を筆頭に、1980年ごろにも腐敗撲滅の運動が行われている。
しかし、習近平が行う腐敗撲滅運動はかつての比ではない。
2013年から習近平主導で行われている「反腐敗運動」では、毎年3万件以上の汚職が摘発されている。
1980年の汚職摘発は7,000件ほどしかない。
実に4倍以上だ。
また、省部級(大臣クラス)の汚職にも目を光らせている。
2008年度の省部級の汚職による逮捕者はわずか8人だったのに対し、2014年では28人、2015年には41人にも増えた。
まさに「虎(大臣クラス)もハエ(下級役人)も同時に叩く」のスローガン通り、汚職撲滅を有言実行しているのだ。
(参考:コトバンク「反腐敗運動」
https://kotobank.jp/word/%E5%8F%8D%E8%85%90%E6%95%97%E9%81%8B%E5%8B%95-1738038より)
2 貧困緩和
1985年頃に鄧小平がとなえた「先富論」(先に豊かになれる者たちを富ませ、落伍した者たちを助けること)から始まった中国の貧困対策。
めざましい経済発展の中、富裕層・中間層は増加したが、2012年時点ではまだ1億人弱の人びとが貧困状態にあった。
小康社会(豊かな社会のための数値目標)。
2017年に発案された「三大堅塁攻略戦」(重大・金融リスク防止、貧困脱却、環境汚染防止)。
などなど、地道に貧困対策を進めます。
(……ちょっとこのへんは調査不足です。すみません。
参考になる書籍などを発見したら紹介します)
2021年2月25日、習近平は三大堅塁攻略戦の、貧困脱却に全面的な勝利を収めたと宣言します。
貧困状態(年間純収入2,300元以下)の人口はゼロになった、というものです。
こちらもほぼこのサイトの情報です。
(JETRO 日本貿易振興機構ジェトロ「習国家主席、貧困脱却の達成を宣言」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/03/526e6c97723d2df3.htmlより)」
3 一帯一路(いったいいちろ)
一帯一路とは、2013年に習近平が打ち出した巨大経済圏構想です。
簡単に言うと、シルクロードの現代版です。
中国とヨーロッパを陸路(鉄道)と海路でつなぎ、物流をスムーズにすることで貿易による経済発展をうながすものです。
陸路は中国からカザフスタン、ロシアを通って西へ西へと進み、ベラルーシやポーランドにつながります。
ポーランドからはチェコへも分岐します。
西へはドイツ、フランスとすすみ、最終的にはスペインに到達します。
なお、日本からヨーロッパへの輸出入もこのルートを使うことがあるそうです。
陸路のいいところはずばり、速さです。
日本からヨーロッパへと船便で荷物を運ぶと、1ヶ月ほどかかります。
しかし、この陸路(鉄道)を使えば2週間くらいで済むのです。
一応、途中で税関もありますが、ほぼノーパスでいけちゃいます。
(なんだかEU内での貿易みたいですね)
この鉄道(中欧班列)は一日一本以上が運行しています。
ヨーロッパと中央アジアの15カ国、およそ50都市を結んでいます。
中国からは車や電子機器、衣類など。
ヨーロッパからはワインやチーズ、肉類が運び込まれています。
さらに、この一帯一路には原油や天然ガスを運ぶパイプラインも併設されています。
万が一、中東でなにかが起こって海上封鎖されたとしても、これがあれば一安心です。
ミャンマーなど、石油原産国の近場の港で引き上げて、そこからパイプラインに流せばいいからです。
前回、中国がつけてきた基礎体力、経済について話しました。
経済とはモノとカネの流れです。
中国の生産性が上がり、電子機器などが安価に大量に作れるようになりました。
国内では消費しきれないモノたちをこの現代版シルクロードをつかって流すことで、中国はますますカネを手に入れる、というわけです。
他にも、この一帯一路路線をつかって5Gなどのネット通信網を整備したり、付随する港を整備したり(そして、貸し倒れにさせて港の使用権をゲットしたり…)と、経済発展以外にも応用しています。
こちらもほぼ、このサイトを参考にさせていただきました。
(NHK大学生とつくる就活応援ニュースゼミ 目指せ!時事マスター
1からわかる!中国「一帯一路」それってなに?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/jiji/jiji22/より)
ー・ー・ー・ー
「あれ? 習近平、けっこう優秀なんじゃない……?」
って思った人。
そうなんですよ。
習近平は公約の大半を履行し、最初の数年で経済を安定化させ、格差解消のために確実な一歩を進めているんです。
特に反腐敗運動は中国の人びとが待ち望んでいたことでもありました。
2018年2月、中国共産党中央委員会は憲法から「国家主席の任期は2期10年まで」とする 条文を削除しました。
つまり、任期制限の撤廃です。
習近平は任期が切れる予定だった2023年以降も国家主席としてトップにいられるのです。
政治に関する自由な発言がほぼできない中国ではありますが、このことに関しても、
「……習主席は優秀な人だから……」
と容認する意見も多くあります。
まあ、政治家として優秀なことと良心があることは別なので、それがどうなるか、ですね。
彼の政治手腕はあくまで大衆操作のため、国民にプラスに見せるためのパフォーマンスかもしれません。
4 "正しさ"の果てに
「呉の地方のある金持ちが宴会で岳飛の芝居を演じさせたとき、客の一人が興奮してわれを忘れ、秦檜(はんかい)役の俳優を殴った。打ち所が悪くて、俳優は死んだ。官憲の量刑にあたっては、悪を憎むあまりの犯行、という情状が酌量されたという」
(「貝と羊の中国人」加藤徹 新潮新書より)
正しさとはなにか?
正しいとはなにか?
「正義の反対は、また別の正義である」
元ネタは「パワプロクンポケット7」に出てくる黒野博士のセリフらしいですね。
私もこの考えに全面的に同意します。
何が悪で、何が正しいのか。
それは見る角度や立場によって変わってくる。
絶対の正義など存在しない。
でも、中国は違います。
中国国民にとって、絶対の正義は共産党です。
彼らにたてつくような発言をすれば、国内にいくつもある収容所に送られます。
運が良ければ五体満足で出られ、運が悪ければ死体になって出られます。
絶対的な正義を設定してしまえば、それに反するものは全て悪になる。
ニーチェは「道徳は力だ」と言いましたが、正義もまた力なのです。
人は善や正しさやに従うのではありません。
力にひざまずくのです。
「日本の歌舞伎では、最初悪玉として登場した人物が実は善玉だったり、あるいはその逆だったりと、登場人物の善悪が途中で変わることが多い。日本の民衆は、芝居でも人間の多面性を楽しみたがる。
いっぽう、中国の芝居や映画では、善玉は徹底して善玉で、悪玉は徹底して悪玉である。途中で善悪が入れ替わることは、ありえない」
(同書より)
善と悪、正義と悪があらかじめ規定されている。
つまり、彼らは考える必要が無いのです。
自分で考えて、判断する必要が無い。
思考が深まることもない。
さて、みなさんはアイヒマンテスト(ミルグラムの服従実験)を知っていますか?
実験の動機は
「ナチスが非人道的な行為をおこなえたのはドイツ人が野蛮だからだ!
われわれアメリカ人なら人道的に立派な行動をとるだろう」
というものでした。
実験方法はこうです。
①3人一組(教師役・被験者・生徒役)
②教師役は生徒役に問題を出す
③生徒役が問題を間違えた場合、被験者はボタンを押し、罰として電気ショックを与える
ね、カンタンでしょう?
ちなみに、罰として生徒役に与えられる電気ショックのボタンは被験者が操作します。
ボタンは15ボルトからはじまり、75、135……、255、315……と、最大450ボルトまでのボタンが用意されています。
15ボルトは軽い衝撃ですが、135は強い衝撃、315ははなはだしく激しい衝撃、それ以上は危険領域です。
でも大丈夫! この実験でもし何かあっても、全ての責任は指示を出す教師役にあります。
仮に●んじゃっても、電気ショックを流したあなたに責任はありません。
目の前では電気ショックを受けてうめき声をあげる生徒役がいます。
でも、仕方ないですよね。
彼は出された問題を間違えてしまったのですから。
あなたは目の前で痛がる生徒役に同情するかもしれません。
電気ショックを流すボタンを押すのをためらうかもしれません。
でも、ここで教師役はこういいます。
「迷うことはありません、あなたは続けるべきです」
すべての責任は教師役にあります。
あなたは教師役の指示にしたがっているだけ、正しいことをしているだけです。
正義はあなたにあります。
さあ!
……実験では40人中40人が300ボルト以上(危険領域)の電気ショックを与え、3,4割の被験者が最大電圧(450ボルト)までのボタンを押しました。
この実験が示すことは、
「人は権威(正しさ)にしたがうとき、どこまでも残酷になれる」
ということです。
芸能人の不倫叩きだとか誹謗中傷だとかもこれにあたります。
人は正義をふりかざすとき、他者に対して残酷なれるのです。
(中野信子さんのいう「シャーデンフロイデ:他人の不幸を喜ぶ気持ち」もからんでくるでしょう)
(実験参考:ウィキペディア
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%AE%9F%E9%A8%93より)
さて、話をもとにもどします。
共産党という"絶対正義"。
「人は正義を振りかざすとき、最も残酷になれる」という心理的特性。
この二つが合わさったとき、どんなことが起きるでしょうか?
考えられることは一つ。
誰かが"悪"の立場に立ったとき、それを止めるすべがない。
つまり、スケープゴートは徹底的に叩きのめされる。
同時に、自分自身を守るため、多くの人は正義の側にすり寄るでしょう。
自分が標的にならないよう、正義の側をあがめ奉り、悪の者たちをおとしめるでしょう。
これらが問題となって表に出てくるのは、おそらく遙か先でしょう。
中国が国際社会で他の国々と同等のふるまいを求められるとき、協調をもとめられるとき、じわじわと染み出してくるのではないか、と思います。
『貝と羊の中国人』では、こうも書いてあります。
「中国の民衆は、仰ぎ見るヒーローを渇望すると同時に、徹底的に罵詈雑言を浴びせて憎める悪役を必要とした。このような精神構造は、今も残っている」
まとめ
さて、今回は
「2 民主主義の限界と共産主義の未来」
について書いてきました。
……いやあ、大変だった…。
一言でまとめると、
「民主主義=いいもの、共産主義(独裁主義)=悪いもの」
っていう考え方は危険だよ!
ということです。
Yes or Noはもう古い。自分で考えるんだよ! というところですね。
まー、個人的にはGAFAが資本で力を持ちすぎた結果、それに投資家が便乗しまくって、公平なレースをおこなうのが不可能になってしまった。
んで、対抗馬として中国の二大企業がGAFAと同じやり方で追いつけ追い越せでやってきた。
そんな中、アメリカの政治は人気取り合戦が白熱していく。
人びとは簡単に扇動され、付和雷同する。
それを横目に、中国では習近平が八面六臂の大活躍!
経済も貧困緩和も、あれよという間に発展・解決しちゃった!
任期制限の撤廃とか、あやしい部分もあるけれど、まあ習主席はデキるやつだからまあいいか!
しかし、安心はできません。
もし、国家主席が暴走した場合、中国にはそれを止めるセーフティネットがありません。
最後にひとつだけ。
中国とアメリカ、それぞれの柱がなにか、です。
中国は共産党、そしてトップである国家主席が国の柱です。
ここが折れたり、曲がったりすれば一環の終わりです。
大統領が多少アレな発言やアレな行動をしても、せいぜい合衆国憲法の範囲内でのことです。
憲法の範囲を侵害することはできません。
合衆国憲法がアメリカ人の自由と権利を守るからです。
…最後までヘヴィな話になっちゃいましたね。
次回はもう少し、明るい話になる予定です。
次回、「3 ネット社会と私たちの未来」です。
参考書籍はこんな感じです。
中国本土を少し離れ、台湾の視点も借りようと考えています。