今日を摘む

ハガキでは間に合わないときの手紙ばこ。

テレビのスピード

昨年10月より一人暮らしになり、テレビのない生活が始まった。
テレビがないことには困っていないのだが、カンブリア宮殿ガイアの夜明けだけは見たかったので、テレ東ビジネスオンデマンドに有料登録した。

 


そこで気づいた。
テレ東ビジネスオンデマンドの倍速再生がものすごーく便利なのだ。

 


私の場合は1.5倍速で見ることが多いのだが、テレビだとCM込みで50分くらいかかるものが、25分くらいで終わる。
ナレーションも早口の方が集中して聞き取ろうとするため、理解度もちょっと上がった気がする。

 


もともとテレビで見ていたときも途中で飽きてしまったり、CMに入って集中が切れた途端にスマホを触り始めてそのままそっちに没頭してしまうことが多々あった。
倍速再生という手段を手に入れたことにより、コンパクトな時間で集中を保ったまま番組を見られるようになったのだ。

 

 


また、私はテレビドラマが見られないという悩みがあった。
これも私自信がテレビドラマのスピードと合わないのだと考えると合点がいった。

 


週に一時間とはいえ、わざわざ時間を捻出するのがめんどくさいし、私の職業病みたいなものだが、ドラマ作品を流し見できないのだ。
カメラワークや作品テーマの解析、背景の小物が示唆すること、台詞や演者の表情等々…。

 


映画であれば半強制的に集中空間に放り込まれるし、2時間という制約もあるのでその時間だけ集中すれば良い。

 


だが、テレビドラマはそうもいかない。
15分ごとにCMで集中をぶった切られるし、3ヶ月も追い続けなければならないし、そもそもトータル12時間分も見るの疲れるし…。

 


また、たいていのドラマは原作になった小説や漫画があり、そっちを見れば内容は把握できるので、わざわざテレビドラマを見る必要がない。

 

 


一方で、テレビドラマだからこそ表現できる世界もある。


ドラマ「きのう何食べた?」におけるテツさん(ヨシくんの彼氏さん)のセリフで、
「故郷の両親にはびた一文だって渡したくない」というシーン。

 


漫画でもテツさんの両親に対する静かな怒りを感じることはできた。
でも、ドラマで菅原大吉さんが演じるテツさんからは、静けさの中にある抑えきれぬマグマのような怒りを感じた。
圧倒された。

 


もちろん、よしながふみ先生が漫画で伝えたかったものと、ドラマの監督さんが伝えたいものには差異がある。
決して同じにはならない。
それを差し引いても、生身の人間が時間を使って演じる迫力には一つの価値がある。

 


テツさんの両親への熱を帯びた怒りは、テレビドラマだからこそ表現できたと思う。
仮に映画であっても、サブキャラクターであるテツさんにここまでのスポットは当たらなかったのではないかと思う。

 

 


毎週一時間という余裕のある枠組みを持ち、様々なキャラクターに焦点を当てて掘り下げることができるテレビドラマというメディア。
でも、私自身はその時間の緩やかさに耐えられない。
かといって、倍速再生をドラマでやるのは本末転倒である。
内容だけが知りたいなら原作に当たればいいし、緩やかに流れる時間を含めてドラマだと思う。

 

 


このジレンマが解決されることは、なかなかないだろうが、ここに一つ記しておく。
 
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