今日を摘む

ハガキでは間に合わないときの手紙ばこ。

チャイニーズ・ドリームに想いをはせるー”正しい”が決められた世界でー その1


f:id:ZenCarpeDiem:20210509205117j:image
あなたの中国はどこから? 私は三国志からです。
そして晋、南北朝、隋、唐、五大、宋、明、清、元を吹っ飛ばして中華民国に行き、台湾を周遊したのち、そのままSFの世界に飛び立ちます。
(中国の王朝はもしもしかめよ♪ のリズムで読んでください)

細かいことをいうと、杜甫李白が活躍する唐の時代は少しだけ心得があるのですが、ぶっちゃけ三国志とSF以外は分かりません。
それが私にとっての中国でした。

時は代わって令和二年。
私は羅小黒戦記にドはまりします。
そこで初めて気づいたのです。
…私、中国のこと何も知らない、と。

周辺の台湾・香港・マカオには行ったことがあるので、多少の中華情報は得ているのですが…。
まあ、周辺の観光地で満足していたというか。
別に本土まで行かなくても中華気分は味わえるというか。
なんちゃってチャイナで満足しようとしていた自分に気づいたというか。

…これではいかん! と、一念発起したわけです。

今の中国はどんな国で、どんな理念をもっているのか。
ちゃんと自分で調べて自分で考える。
自分なりの答えを出しておく。

では、前置きが長くなりました。
中国の理想・夢とはなんのなのか? 私の自由研究、スタートです!
(…長くなりそうなので急遽分けました)


『チャイニーズ・ドリームに想いをはせる
  ー"正しい"が決められた世界でー』

0 研究動機
1 現在の中国ー経済発展ー
2 民主主義の限界と共産主義の未来
3 ネット社会と私たちの未来
4 エピローグ

1 現在の中国ー経済発展ー

GDP(国内総生産ランキング 参考:グローバルノート)
一位 アメリカ 21.43兆USAドル
二位 中国   14.34兆USAドル
三位 日本    5.14兆USAドル

なお、2019年度のGDP成長率は年6.1%にもなったそうです。
(同年のアメリカは2.2%、日本は0.7%)

中国の経済発展の要因は様々にある。
その中でもとりわけ効果が大きいのがインターネットを主軸とした情報技術産業だ。
中国二大企業、アリババとテンセント。
どちらも中国内の主要産業を牛耳っている。
いわゆるGAFA的な存在だ。

中国の経済発展のキーは二つ。

1.自給自足のデジタルプラットフォーム
  (GAFAに利益をかすめ取られない)
2.戻ってきた留学生:海亀(ハイグイ)
  (能力を生かせる場所ができた)

1.自給自足のデジタルプラットフォーム
  (GAFAに利益をかすめ取られない)

GAFAGoogleAppleFacebookAmazonの4社のこと)はインターネット事業で得た潤沢な資金をもとに様々な事業に投資し、その利益を得てさらに巨大に成長してきた会社です。

(なお、この「自社の利益を他社に投資してさらなる利益を得る」手法をCVC:コーポレートベンチャーキャピタルといいます)

GAFAのすごいところは、一度もうける仕組みを作れば半永久的に利益が得られるところです。
しかも、GAFAは中国をのぞく世界中に展開しているため、世界中から小金を集めることができます。
一つ一つの回収利益は小さくとも、世界中となれば巨額の利益となります。

利益のあるところには投資が入ります。
さらなる資金が投入され、投資された企業はますます利益を上げます。
投資家たちはそのおこぼれをいただき、さらに投資を重ねます。

富めるものはますます富み、というマタイの法則よろしく、GAFAは今後もますます利益を上げていくでしょう。

世界各国の企業が核の傘ならぬGAFAの傘のもと、小金をせっせと集めてもGAFA以上にはなれない。
その傘に風穴を開けんとしているのが中国の巨大企業・アリババとテンセントです。

アリババとテンセントは中国というGAFAの傘の届かない場所で切磋琢磨しています。
約14億人の他国から奪われることのない顧客とともに、自国内で利益を循環させています。

(……もともと、中国がGAFAを国内に入れなかったのは情報統制のためだと思うのですが、結果として、自国産業を守ることになったんですよね)

一人っ子政策を廃止した中国ですが、今後は日本と同じく少子化に苦しむだろうといわれています。
それでも、十数億という人口があれば国内で充分経済を回していけます。

(ちょっとうろ覚えなのですが、共同市場だったか単一市場だったか、一つの経済圏を成り立たせるために必要な人口は約一億人といわれています。
 日本は今のところ、国内の人口だけで独自の経済圏を維持できます。
 これが一億人を切ると、経済圏が維持できなくなるのです(住民の生活が成り立たなくなる)。
 お隣の韓国がアイドル産業やIT産業に力を入れるのは、人口が少なく(約5,100万人)、自国内だけでは経済圏を維持できないからなのです)

国に守られた経済圏で他国からの利益搾取がなく、利益をこつこつと積み立てることができた。
それが、中国が発展してきた理由の一つでしょう。


2.戻ってきた留学生:海亀(ハイグイ)
  (能力を生かせる場所ができた)

かつて、中国人にとってのチャイニーズ・ドリームは
「お金をできるだけ稼いで、外国に行くこと(共産党から自由になること)」でした。

日本国憲法代14条では、
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的、又は社会的関係において、差別されない」とあります。

中国と日本との大きな違いの一つは、門地(出身)による差別があることでしょう。
出身地により農村戸籍都市戸籍に分けられ、農村出身者は勝手に都市部に移住できません。
一応、出稼ぎ労働者もいますが、農村出身者が都市部で暮らしても都市生まれの人と同じ社会保障を受けることはできません。
出身地という生まれながらの枷から自由になる方法は一つ、現代版科挙:高考(ガオカオ・日本のセンター試験のようなもの)です。

中国では学歴が重視されるため、出身大学によって将来が決まってしまうといっても過言ではありません。
ただでさえ人口の多い中国、高考試験は熾烈を極めます。
そこで、資金のある富裕層の学生は海外留学を目指すのです。

2018年度の中国人留学者数は66万2,100人(同年の高考受験者数の6.8%にあたる)。
日本の海外留学者数は5万8,720人です(文科省サイトより)。

単純に13億:1.2億で比率を比べると、中国のほうが4%多いくらいですね。
比率にそこまでの差はありませんが、重要なのは卒業後です。

かつて、海外の有名大学へ留学した中国人エリートたちは、そのまま現地のグローバル企業に就職することがお決まりのコースでした。
中国に戻っても、海外と同じ水準の給与が得られないからです。

しかし、現在は違います。
アリババ、テンセントなどのメガプラットフォーム、ファーウェイ、ZTE、OPPOなどのITメーカーなどなど。
彼らが活躍できる場が整っているのです。

さらに、中国政府は海外人材呼び戻し政策を実施し、留学生の国内回帰を奨励します。
(「留学人員創業園」、「海外高層次人材引進計画:千人計画」など)

また、中国人に最も人気の留学先であるアメリカでは、前大統領の影響による米中摩擦も相まって、中国への帰国を希望する学生が増えています。


海外で学び、中国へと帰る。
かつて、やりたくてもやれなかったことが今はできる。
能力のある若い人材が活躍できる場がととのったこと。
これが、経済発展の二つ目のキーです。


最初に中国のGDP成長率は6%を越えている、と書きましたが、この数字を怪しいと見る人は大勢います。
コロナウィルスが蔓延する以前に中国の経済発展は停滞がはじまっていた、という意見もあります。
農村部と都市部の格差も大きく、都市部の若年層失業率(16~24歳の失業率)は2018年以降10%以上をキープしています(中日webより)。

どの世界にも明と暗があります。
それでも、経済的に発展できたことは明るいニュースです。
しかし、十分な収入が得られたとしても、それがセーフティにならないのが中国です。
経済的な自由はあっても、権力にたてつけば一瞬で拘束される。

次回、「2 民主主義の限界と共産主義の未来」です。

 

【参考】

 

清華大生が見た 最先端社会、中国のリアル
 

アリババとテンセントの企業の内情、留学生情報、中国の学生の生活などが詳しく書かれています。

(…意識的が無意識かは分かりませんが、政治に関する話題がほぼないのが気になる一冊)

 

ブログ上では語らなかった、経済と軍事の関連など細かいところまで網羅された一冊。

こちらは次の記事でもたくさん参考にさせてもらう予定です。

ヘタしたら死ぬ仕事:国語教員備忘録  その2

国語で学ぶ「ことばの力」。

前回は基礎となる四つ、

1聞く
2話す
3読む
4書く

についてまとめました。

今回はその他ということで、あと三つ、ことばの力を鍛える上で重要な項目についてまとめます。

 

ことばの力:その他へん

1 漢字・文法・語彙
2 古文・漢文
3 書道(習字)

1 漢字・文法・語彙

ブロックで家を作る際、ブロックが多いほど大きな家を建てることができます。
様々な色があればカラフルな家になりますし、形が複雑なものを使えばおもしろいシルエットをつくれます。
基本的な法則を知っていれば応用にもつなげられます。

漢字・文法・語彙。
これらは自分の想いを伝えるための、頼もしいサポーターになってくれるのです。

2 古文・漢文

えー、いろんな場面で耳にしますね。

「古文や漢文なんて受験でしか使わないし、勉強する意味ないじゃん」

……それさあ、イギリス人に向かって
シェイクスピアなんて古くさいし時代遅れだし、読むのやめましょうよ」
って言うてんのと同じやぞ。
鼻で笑われんぞ。
(あ、日頃の鬱憤が出ちゃった。反省☆)

古文・漢文の勉強が直接何かに役立つことはまれです。
教養として人生を豊かにするために読むんだ! …なんて、ふわっふわな考え方もあります。

私が考える古文・漢文を学ぶ意義は以下のことです。

「日本語のルーツにふれる」

今使っていることばはどこから来たのか?
昔の人はどんな考えを持っていたのだろうか?

自分の母親がどんな人で、どんな幼少期を過ごしたのか。
また、自分の母親の母親はどんな人だったのか。
彼女たちが大切にしていたことはなんだったのだろうか。

自分の親について、そのまた親について知りたいと思うように、

「それはどこから来たのか?」

ということを知るのは無駄ではないのです。
自分のルーツを知ることで納得できたり、落ち着いたりすることがあります。

私は、古典作品を読むことは翻訳の一助にもなると考えています。
現代とは違う価値観・ことばにふれることで、「自分の常識が通用しない世界」について学ぶことができるからです。

3 書道(習字)

これも、いろんな意見が出ていますね。
美しい字が書けることは素晴らしいです。
でも、一億総活字時代の現代において、美しい字が書けるということにどれほどのメリットがあるのでしょう?
日常のメモ書きがみみずの大運動会であっても、中身が良ければそれでよくない?

ぶっちゃけ、私はこの派閥です。
PCで清書すればいいんだから、ノートもメモもいくらでも汚くてOK!
ノート点検? 形だけ整えたものに何の意味があるの? っていうスタンスです。

でも、それはそれ。これはこれです。

中身としての文字、箱としての文字

文字には二つの役割があります。
一つ目は、連なって文章となり、一つのまとまとまりとして意味を伝えることです。
つまり、中身を伝える役割です。

二つ目は、文字の外観・外見。
つまり、デザインそのものです。
漢字は六書と呼ばれる四つの造字法と二つの転用法から成り立っています。

その中の一つ、「象形」は有名ですね。
山、川、馬。
これらは実際のモノの形をかたどって漢字が作られています。


横棒の長さ、点の位置、はらいの向き。
なぜそんなふうに書くのか?
そこにはルーツとなる実物、理由があるのです。

お手本に忠実に書くことは、そのルーツをたどることです。
そして、ルーツをたどったあとは未来に目を向けます。
基本のあとの応用、アレンジです。

(ここからは私個人の考えが色濃く反映されています)

基本を学び、応用につなげる。
「青空」「飛翔」「蒼天」などなど。

楷書で基本の形に慣れたら、アレンジにうつります。


「青空」なら、もっと"青空感"を高めるためにはどうすればいいか。

青の字を軽くつぶしてのっぺりした感じに書いたらどうだろう?
空の"エ”の字の下のラインを地平線に見立てて、思いっきり長くしてみたらどうか?
水も使って、文字にグラデーションをつけてみたら?

 

などなど、文字の外形を工夫し、文字の内面・意味を伝えやすくする方法を考えていくのです。


文字の外側・形と、文字の内側・中身はリンクしています。


そのつながりに目を向けることが書道の意義の一つだと考えています。

なお、できあがった作品に対して工夫点や自分の意図を文章でまとめることで、書く活動にもつなげられます。
他の人の作品を見たり、感想を書いて交流するのもいいですね。
書道、実は一石二鳥にも三鳥にもなる活動なんです!

(ぶっちゃけ、美術のカリグラフィーとかぶるところもあるんだけど、書道は筆と墨だけ! っていうしばりでやるからいいかな、って)

あと、書道という作品づくりに没頭することで、自分との対話にもなります。
この「自分の作品に一対一で向かい合う」っていう時間が最近では少なくなっていると思うので。
文科省はアクティブラーニング推しですし。


もちろん、基本に忠実に三、四時間ずーっと楷書を書き続ける、という学び方もあります。
時間と回数を重ねることで、ようやっと見えてくるものもあります。

……まあ、でも……。

正直、飽きませんか? 


私自身、そこまで書道に関する経験が無い、というのもありますが、なかなか……。

あと、実際の書画展の作品ってすごく躍動感があるじゃないですか。


楷書であっても、はらいの部分が力強く強調されていたり、
行書なんて大きさも向きもばらばらで自由だったり、
和歌のかな文字は野の花みたいに画面にのびのびと生えているし。

やっぱ書きたいじゃないですか、そういうの。
せっかくの実技タイムだしね!

書道へん、思った以上に長くなってしまいました。
なんだかんだいって楽しいですからね。

まあ、制服に墨がついたとか筆落として周りの子に付いちゃったとか墨汁ちゃんと締まってなくてカバンが大惨事ですとか……まじ勘弁してよってアクシデントも多いけどね!

《おすすめ図書》

いい文字ってなんだろう?

そのヒントをもらえる本を2冊紹介します。

 

文字に美はありや。

文字に美はありや。

 

リンクは単行本ですが、文春文庫から文庫も出ています(720円税抜)。

ここに載ってる土方歳三近藤勇の書(っていうか手紙なんですが)、すごくいいんですよね!

書き手の性格や意気込みが伝わってくる字です。

 

書のひみつ

書のひみつ

  • 作者:古賀弘幸
  • 発売日: 2017/05/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

1,650円(税抜)で、やや大判なムック本です。

フルカラーで書を大きく見られるのが長所です。

イラストや説明もあるので、入門書みたいな感じですね。

 

次は「小説を教えるってどういうこと?」についてまとめたいと思います。

ヘタしたら死ぬ仕事:国語教員備忘録  その1

うつ病一回、50万。

これは私が常勤講師時代にこの身に刻んだ教訓です。
物騒だけど、とても大切なことです。

私の場合、自分一人だけならなんとかなっていたけれど、休職者が出たことによりドミノ倒し的に心と身体が潰れました。


自分のことだけでいっぱいいっぱいになっていてはダメなんだよ。
そのことを深く実感しました。

 

(あと、文系科目って倒れる率高くないですか?
 教える内容に上限がなく、こだわろうとすると無限にこだわれるから?)

 

しばらく国語から離れるので、自身の備忘録としてメモしておこうと思います。


ヘタしたら死ぬ仕事:
国語教員備忘録 その1

国語とは何か?

新学習指導要領における国語科の目標(中学校)は以下の通りです。

 

言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、国語で正確に理解し適切に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1)社会生活に必要な国語について、その特質を理解し適切に使うことができるようにする。
(2)社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め、思考力や想像力を養う。
(3)言葉が持つ価値を認識するとともに、言語感覚を豊かにし、我が国の言語文化に関わり、国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。

 

なお、私が国語の役割として考えているのが次のことです。

「感情の肯定」

自分の感想、意見、などなど。
国語という教科は自己の内面と深く関わっています。
まず、自分の中に「感じた気持ち」「言いたいこと」がなければ、"言葉にする"という表現までたどり着けません。

よくわからん、なんだこれ? でもOK。
その子が何を感じたのか? まず、その気持ちを肯定します。

でてきた感想が勘違いや理解不足による早とちりを含んでいても、まず、その気持ちを肯定します。
感想に間違いはありません。
その時点での感想、ということで全て肯定します。
認識や理解に間違いがあれば、その理由を考え、理解を深めていくのが授業です。
(一応、コメントで「なるほど。でも、主人公はこんなことも言ってなかった?」と、別の見方もあるよと軽く示唆しておきます)


国語とは何か?


私は、

「自己の感情を肯定し、感じる心・考える心の素地をつくる教科」

だと考えています。


国語で身につける力

「国語力=ことばの力」と集約されることが多いです。
では、「ことばの力」とは何でしょうか?
文部科学省の「第1 国語力を身につけるための国語教育の在り方」というページを参考に、4つの言語活動からまとめます。

ことばの力:4つの言語活動をもとに

1聞く
2話す
3読む
4書く

1聞く

人間は多くの情報を耳から仕入れています。
家族や友達との会話、先生の指示、駅構内でのアナウンス。
日常でのなんてことないコミュニケーションから、一刻一秒を争う重要情報の取得まで、聞くという活動の役割は広範囲にわたります。

コミュニケーション上で齟齬があれば対人トラブルの元になります。
駅でのアナウンスが理解できないと、電車が止まった時にどうすればいいのか。
動けなくなってしまいます。

また、音声情報を全て記憶しておくことはほぼ不可能です。
話を聞きながらメモをとることも聞く力の一つです。

重要なことは何か? どこまでが枝葉で、どこからが幹か?
耳で聞いて判断する力がつくと、世界に対する恐れがなくなります。

2話す

話すことも基本的なコミュニケーションの一つです。
私たちは家族や友人相手にほぼ無意識にことばを操っています。
なので、勉強なんてしなくてもできるじゃん、と思っている行為の一つでもあります。

話す、ということが意識されるのは、公的な場面です。
家族や友人とは違う、"いいかんじに察してくれない人たち"に対し、話す力は発揮されます。

自分は何を言いたいのか?
どういう順番で話せばわかりやすいのか?
きつい言い方や不適切なことば遣いになっていないか?

話すという活動は以下の流れで行われます。

内容
 ↓
構成
 ↓
ことばの使い方・話し方

話すことは、より多くの人に自分の意見を効率的に伝えることができる手段なのです。

3 読む

他者を、世界を理解するためには読むという行為が必須です。
読むという行為で大切なことは、独りよがりにならないことです。

近年では「わかりやすい」が尊重されます。
一言で、ばしっと、サルでも分かる!
……そんな事のほうが少数です。

人間はサルではありません。
だからこそ、長々とつづられた文章を読んで、他者の考えや世界について理解する必要があるのです。

読むという行為はとかく迷いやすいものです。
授業では先生が、


「今、主人公はこういう気持ちなんですよ」
「ここの段落は一つ前の段落の補足説明をしているんですよ」


という感じで、旅行のガイドさんのように旗を振りながら説明してくれます。

国語における「読む力」の目標の一つは、文字の大海原を自分で舵取りしながら進めるようになることです。
でも、できればもう一段上のレベルに到達してほしいです。


「読みのアナーキー」を越えて

「テキストは書き手の手を離れた時点で読者のものだ。
 だから、読者はテキストを自分なりに、好き勝手に読んでいい」

この考えを

「読みのアナーキー」= 読みの無法地帯

といいます。
趣味で読む小説や物語なら、それでもいいでしょう。
ですが、自己解釈を絶対とする考え方のままでは、自己の世界から抜け出すことはできません。

なぜ、作者はこの表現を使ったのだろう?
この作品のテーマは何だろう?
テーマを発見したとして、それは本文のどこを根拠としてそう言えるだろうか?


テキストに忠実に、丁寧に、自分の読みを精査すること。

作者はどういう意図をもって、それを書いたのか?
自分の理解とテキストの内容に齟齬がないか?
自分と違う意見の場合、筆者は何を根拠にその主張をするのか?

テキストと自分の考えを行ったり来たりする課程で、自身の考えが絶対ではないこと、他者の考えを尊重する姿勢が身につきます。

読むという行為は一人で行うものだが、その実体はとても賑やかなものだ。


その根拠がここにあります。

読むという行為は、自分ではない誰かに心から寄り添うことなのです。

4 書く

話すという行為が瞬間的なものなのに対し、書いたものは半永久的に残ります。
(録画・録音という手段もありますが、文章のほうが圧倒的に流通コストが低いです)

ことばはデジタルな存在です。
聞く・読むはデジタル信号としてまとめられたことばを翻訳することです。
話す・書くは自分の中にあるまだ形にすらなっていない思いを言葉というデジタル信号に変換することです。

文章はすでにデジタル化されているので、外国語に翻訳することも容易です。
面と向かって話すよりも、より多くの人に伝えることができます。

読者の中には、熱心にこちらの言葉に耳を傾けてくれる人も、そうでない人もいる。
多種多様な人々に分かってもらうためにはどうすればいいか?
ここで培われるのが他者意識です。

書くことは、より多くの人へ意見を伝えることができます。
だからこそ、他者について考え、世界中の人々へ視線を向ける必要があります。
自分ではない他者に対して、どうすれば想いを伝えることができるのか。
その試行錯誤の過程が書くことなのです。


以上、聞く・話す・読む・書く がことばの力の基礎になります。


ここではあと三つ、ことばの力を鍛える上で重要な項目についてまとめます。

長くなったので次回!

 

ことばの力:その他へん

1 漢字・文法・語彙
2 古文・漢文
3 書道(習字)

なんちゃって連載作家体験記。

まだ下書きすら完成していないのに連載なんかはじめちゃって、途中で止まったらどうするの?
やっぱ書けませんでした、なあんてめちゃくちゃ恥ずかしいやつじゃん。
え? まじ? 私、ちゃんとやれる??

 

テンパる私に咲世子さんが、

 

「あたしは版画だけど、締め切りに合わせてものをつくるなんてみんなやってることよ。
別にたいしたことじゃないわ」

 

そうさらっと言ってくださったので、「それもそうか」と落ち着いて二週間を過ごすことができました。
この場を借りてお礼を申し上げます。

 

(『黒の咲世子』の異名をもつかっこいい女性版画家が出てくる作品はこちら!)

眠れぬ真珠 (新潮文庫)

眠れぬ真珠 (新潮文庫)

 

 

なんちゃって連載作家体験記。

 

ことの発端は二月六日。
シューファイをメインとした二次創作小説を書き上げ、私は心地よい虚脱感に浸っていました。
三月十四日のイベントに申し込もうかどうしようか悩みつつ、ようやっと重い腰をあげ、のほほんとページを開いたら時すでに遅し。
ひとことで言うと、イベントに申し込み損ねました。
まあ、私が遅刻した分だれかが入れたってことだし、よかったよかった。
(正直に言うとそのあとふて寝しました)

 

しっかり寝てメンタルも回復し「作品づくりは自由だし、自分のペースでやっていこう」とちょっとずつ筆を走らせ始めました。
ゼロ話をかき上げ、このあとどーしよっかなーと適当に書きたいシーンをメモしていく。

 

今回の作品は長くなりそうでした。
前作ではフーシーをほぼ出せなかったので、フーシーについてなにか書きたいなーという気持ちだけがつのっていきました。

 

そんな折、私は早朝ののぞみに飛び乗りました。
さくらいさんのフーシーに会うためです。
鑑賞後、私は決意しました。
フーシーの話、絶対完結させる。
長い小説も、ちょっとずつなら書けるかもしれない。
せっかくなら、イベントの前座みたいな感じで毎日一話ずつアップすればいいんでない?
なんだか、新聞連載の小説みたいでかっこよくない?

 

…そんな感じで今回のお話はスタートしました。
連作としてプロットをつくり、話数を決める。
登場人物、話のテーマ、各章節ごとの内容。
漢詩もつくってみたかったので、ざっくりとイメージもメモしておく。

 

実は小説のプロット、作ったことなかったんですよね。
マンガはプロットとネームがないと話にならないんだけど、小説はなくてもなんとかなります。


あと、村上春樹さんが「ぼくは作りません」って言ってたから……まねしてます。
春樹さんはストーリーを決めず、小説を書きながら主人公と一緒にストーリーを体験していくそうです。

 

プロットの大枠が決まると、下書きに入る。
IWIの万年筆(くすみブルーのインク)を使い、ノートにがーっと書いていく。
ノートのいいところは、気に入らないけど他に良い表現が思い浮かばないとき、取りあえず下線だけ引いて、あとから考えられるところです。
内容の順番を入れ替えたいときも、かっこと矢印だけでOK。
やっぱやめたってときは、矢印にバツをうっておく。

 

四話まで下書きがたまったところで、公開初日を迎えました。
(かちキレフーシーのシーンです)

 

ノートのペン書きをポメラで清書し、SDカード経由でPCに移す。
んで、Google Keepにコピペして、スマホに転送。寝る。
次の日、Google Keepの文章をもう一度見直す。
そして、文庫ページメーカーさんを利用し、画像化してツイッターに上げる。

 

初めて文庫ページメーカーさんを使ったときは押せるボタンの多さに戸惑いました。
だが、初心者には伝家の宝刀「初期設定に任せる」がある。
とりあえずで生成ボタンをポチりました。

 

はじめは余裕があったんですが、最後はやっぱり自転車操業になりました。
最終章は下書き→ポメラスマホとほぼ一日の突貫工事でした。

 

あと、終章と同時に「いえーい、かんせー☆」みたいなイラストも一緒に上げたかったんですが、全然間に合いませんでした。
(まだ線画です)

 

これから

作品は完成してからが大切だよってことで、一端印刷して、以下の点を見直します。

1 比喩
2 感情
3 表現

1 比喩

村上春樹さんが「小説とは文体です。文体とは比喩です」って言ってらしたので、「おっけー! 比喩ね!」ってことで比喩には気をつけています。

 

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

 

 

比喩は想像力を働かさないといけないので、一端読みが止まります。
入れすぎると、毎回赤信号で止まらされるような不快感につながるので、ここぞ! ってところで入れます。

自画自賛なんだけど、ゼロ話の鳥の比喩と、6話の檻のイメージがめっちゃいいかんじにはまった)

2 感情

カズオ・イシグロさんが「小説の役割は、感情を伝えることです」って言ってらしたので、それにならいます。

(NHKのインタビューより)

 

人物の行動と感情がリンクしているか。
伝えたい感情があるのに、行動がさらりとしすぎていないか。
立ち止まって考えてほしいなら、ふさわしい比喩は何か。
周囲の人物は棒立ちになっていないか。


そんな視点で見直します。

3 表現

表現力がすごい作家さん、あなたは誰を想像しますか?
私は柳美里さんです。

 

高校生の時、柳美里さんの『ゴールドラッシュ』を読んでいて吐きそうになったことがあるんです。

 

ゴールドラッシュ (新潮文庫)

ゴールドラッシュ (新潮文庫)

  • 作者:美里, 柳
  • 発売日: 2001/04/25
  • メディア: 文庫
 


失礼な言い方になって申し訳ないのですが、主人公が住んでる家のごみごみした感じとか、腐臭がきつくて、おえってなってしまったのです。

 

……いやいやいや。
これ、小説だよ? ただの文字だよ?
絵も、色も、臭いもついてないよ!?

 

ただの文字で吐き気をもよおすってすごくない??

 

口元を抑え、本を閉じながら賞賛しました。
これが言葉の力か、と。

 

(今は柳美里さんの「ウーパールーパー」(『飼う人』収録作品)を読んでます。
 …これもですね、サンドペーパーで腕をしゃりっ、じゃりっと引っかかれるような痛みを感じるんですよ…。
 しかもだんだんサンドペーパーの目が粗くなっていくんです。
 じゃりっと腕を引っかかれるたびに「いちっ、あてっ、あだだだっ!」って叫びながら読んでます)

 

私の書いたやつはそこまで痛みはないので、飯テロ度なんかを強化したいですね。
もっと鳥の丸焼きをジューシーに書きたい。

 

ー・ー・ー・ー


文章を書くと、自分のくせが見えてきておもしろいですよね。
私はどうしても短文になります。

小論で鍛えられたので、文が長くなると「そこ、切れるよ」と脳内で指摘が入ります。
あと、北方謙三先生の影響も濃いですね。
高校一年生の時、半年間どっぷり北方三国志に浸かったからなあ。

 

読み手としては、長文だけどリズムがよくてどんどん読まされちゃうのとか好きですね。
綿矢りささんの作品とか。


三島由紀夫も長文なのにさらっと読まされちゃいますよね。
さらっと読まされすぎて「いや、さっきの流麗すぎて何ゆうとるんかさっぱり分からんかったわ」ってよく後戻りしますが。
ほんと、三島由紀夫は何食ったらあんな綺麗な文章かけるん? って思います。

 


さて、二週間を共に駆け抜けた戦友(ポメラ)と離れがたくて書き始めたこの日記。
そろそろ閉めたいと思います。

 

ロシャオにはまって現代中国に関する本を読んだので、次はそれについてまとめたいなと考えています。
いやあ、それまでうちの本棚、中国関係は漢詩とSFしかなかったんですよね。
現代がすっぽり抜け落ちていた。

 

私のオタク歴は中学の時に真三國無双3の陸遜にドはまりしたところからスタートします。
なので、一周回って帰ってきたような安心感があるんですよね、ロシャオ。
中国、今も昔も、目が離せない国です。

羅小黒戦記マジメ論考 ーシャオヘイは一体何と戦っていたのか?ー

ねえ、信じられる?
フーシーの笑顔が見たいって叫んだ一週間後に公式から笑顔のフーシーが提供されたんだぜ?

 

何コレ夢? 信じれば願いは叶うんだね…!
やったねプ●ル!
(いや、●ペルにこんなセリフがあるのか全く存じませんが)

 

さて、冒頭からちょっと飛ばしました。
本日のテーマ、

シャオヘイは一体何と戦っていたのか?

です。

 

このテーマのインスピレーション元は、小説家・石田衣良さん主催のネットラジオ「大人の放課後ラジオ(おとラジ)」です。


今週配信された第60回「長寿革命を先導する『LIFE SPAN』を語り尽くす!!」
その中で読み上げられた質問の回答からです。

 

「小説は●からスタートする」

 

(実はアレ、私の質問です。
 いや-、自分の質問が読まれるってすごく嬉しいですね!
 ラジオのヘビーリスナーになる人の気持ちがよく分かった)

 

質問が読み上げられるのは有料配信部分(月額500円)なので、興味を持たれた方はぜひ!
YouTubeメンバーシップとニコニコチャンネルで登録できます)


さて、テーマに戻ります。

 

シャオヘイは一体何と戦っていたのか?

 

その答えはシャオヘイが最終的に手に入れたものにあります。
ムゲン様のセリフ、

「お前の中に答えがあるだろう」

そして、シャオヘイが自分の意思で居場所を決めたこと。

 

誰かに言われたわけではなく、周囲に流されたわけでもない。
シャオヘイが自分の意思で、誰と一緒にいたいのか決めた。

 

つまり、シャオヘイが戦っていたのは、

「自分を無理やり強制(矯正)しようとするもの」です。

 

シャオヘイはいろいろなものを奪われてきた。
故郷の森、第二のふるさととなるはずだった離島。
そして、彼が持っていた力。

 

シャオヘイにとって大切だったものは、より強大な力によって根こそぎ奪われていきます。
シャオヘイの気持ちとは一切関係なく、彼を押しつぶし、踏みにじっていく。

 

世界はシャオヘイから奪うだけ奪っておいて、その上生き方まで提示してきます。

 

「妖精は館にいて、人間と共生するべきだ」
「人間を追い払い、妖精は自由になるべきだ」

 

シャオヘイの意思とは関係なく、奪い、生き方の正解まで押しつけてくる。


じゃあ、その「自分を無理やり強制(矯正)しようとするもの」に勝てばいい……わけではない

 

ここでキーになるのがフーシーです。
彼は拒んだ。
人間との共生を拒み、故郷の森を取り戻したいと願った。

しかし、彼の願いは多くの犠牲を必要とします。

 

誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ
みんなの願いは同時には叶わない
宇多田ヒカル誰かの願いが叶うころ』より)

 

世界は自分を矯正し、型にはめ、一つの生き方を強いてくる。
しかし、だからといって自分の意思を貫き通すことがベストだとは限らない。

 

願いを叶えることは尊い、すばらしいことだ。
でも、自分の願いが誰かの願いとかち合ってしまったら?
自分の願いが誰かを傷つけることにつながるとしたら?

 

なんの犠牲も生まない願いなんてないんだよプ●ル…!
(いい加減しつこいですね)

 

そう考えると、シャオヘイとフーシーは同じものと戦っていたのかしれない。
シャオヘイは勝ち取り、フーシーは……。


さて、フーシーの笑顔が嬉しくて午後10時にコンビニでケーキを買った(380キロカロリー)テンションで書いた本日の論考、この辺でしめたいと思います。

 

最後に、元宵節のはちゃめちゃに素敵なイラストを描いてくださったイラストレーターの方、
羅小黒戦記のスタッフさん方、
そしてMTJJ監督、本当にありがとうございました!

さくらいさんのフーシーに会うために早朝ののぞみに飛び乗った話。

少し前に「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う」っていうタイトルの書籍がありましたね。
私は今「預金残高がゼロになったら、本気の恋だと思う」を体現しています。
(映画と薄い本とスーベーレーン様のせいです)


f:id:ZenCarpeDiem:20210219083459j:image


f:id:ZenCarpeDiem:20210219083551j:image

さくらいさんフーシーとの突然の別れから早三週間。
このまま終わるのは嫌だという気持ちとタイミングが重なったため、前日決行で早朝ののぞみに飛び乗ってきました。

 

再会の場所はチネチッタに決定。
以前、ここで幼女戦記を見たとき『Los! Los! Los!』の音質にぶったまげました。
なにこれ? もう別の曲やん!! っていうくらい衝撃を受けました。
(メガホンの音質がまじやべかったんです!!)

 

ちょうど岩浪美和音響監督のインタビュー付きの回でした。
岩浪監督曰く、ここ(チネチッタ)のスピーカーにはトレーラーのタイヤくらいの大きさのが入っている…らしいんですよね。


記憶が曖昧すぎて「トレーラーのタイヤ」というワードしか覚えてないんですが。

(あと、幼女戦記の納期が大ピンチ! って話をされてた
公開一週間になっても完成してなかったらしい)


やはり、バチバチに調整された音は最高ですね……!

 

私のホームであるミッドランドも9.1chの絶対領界音域だったのですが、違いも大きくありました。

 

まず、風の「ブォンッ!!」て感じの音が凄い。
ちょうちょのキラキラ音がすごく粒だっててキレイ。
冒頭の雨のシーン、シャオヘイが箱に隠れたとき、ちゃんとくぐもった音になってた。
(シャオヘイが聞いてる音だ!ってなりました)
あと、銃撃音やパリーン音の鋭さがより強調されてる感じがしました。

 

高音質って聞くとつい低音ばっかり聞いちゃうけど、高音もいいね!


ただ、セリフに関してはやや聞き取りにくいと感じる部分がありました。
息の音というか、その場にいる雰囲気を演出しているのか、私は少しノイジーに感じました。

 

そしてはじまるフーシー語り

久々にさくらいさんのフーシーが聞けて耳が幸せでした…。
三週間ぶりの吹替だったので、脳内のイメージがさくらいさんご本人に近付いてしまっていたのか、
「あれ? フーシーって結構声抑え目で渋めな感じ??」
ってびっくりしました。

 

脳内ではもっと穏やかなイメージになってた。
あれ? フーシーはプリンセスでお嬢さまで、笑うと犬歯がチラっと見えてかわいいんじゃなかったっけ??
(落ち着いて。それはオタクという祈り子たちが見てる夢やで!
 エボンのたまものなんやで!)

 

シャオヘイとの邂逅シーンといい、落ち着いた低めの声からは「冷静で揺るがない」というイメージも感じました。
渋めのフーシーもかっこいいな!!


フーシーのセリフは字面だけ見たらハートフルなものが多いと思うんですよね。
「今日からここが君の家だ」とか。
でも、決してオーバーな感情は入っていない。
つとめて冷静である。


…その冷静さがムゲンさまとのバトルで崩れていくんだよなあ。
「ここはオレのものだ!」とか、
「ぶっころ!」とか。

 

……ああそうか。
私はフーシーのそこに落ちたのか。

 

フーシーの感情っていうのはフーシーの本音で、願いで、最後には取り繕うこともできなくなって。
その剥き出しの感情と叫びに、私はノックアウトされたんだろうな。

 

フーシーの感情があらわになるきっかけはシャオヘイとの会話なのだろう。
そして、迷い(良心)との訣別のシーンでもある。


あとUnityめっちゃいい……!
すき…!
だって「独りよがりの声が邪魔してる」んだよ!?
「それでもここにいたいと胸が叫んでる」んだぜ!?
あのシーン出すの反則だって!

 

たった今気づいたこと

「今日からここが君の家だ」の前の、

「ここで暮らさないか」「嫌か?」

あたりのセリフ。


…もしかして、フーシーが冷静なわけではなくて、

”無理やり冷静さをよそおって”

しゃべってたりする??

 

だってだって、シャオヘイが「そんなことない!」っていったあとの
「今日からここが君の家だ」っていうセリフには小さじ一杯くらいのお茶目が入ってるじゃないですか。
(最後、語尾がちょっと優しくなるというか)

 

シャオヘイを仲間に引き入れなくてはならない。
しかし、計画のことを悟られてはいけない。

 

その緊張がフーシーの声を低いものにさせた。
ならば、「今日からここが君の家だ」というセリフの最後ににじみ出た感情はフーシーの安堵を示しているのでは?

 

…え、ちょ、ちょっと待って。
さくらいさんワンセンテンスに情報量つめこみすぎなんだけど。
脳も耳も処理が追いつかないんですけど!??

 

ー・-・-・-

 

ついに味噌カツ県では字幕もラストになってしまいました。
中国語フーシーのあの消え入るようなドウィブチーよ…。

 

まあ、なんだかんだまた行きそうですけどね。
毎回新幹線はキツイので、高速バスとか…!
は! 三月になったら青春18きっぷもあるぞ!

 

…あと、ミッドランドもシネマテークさんも…、いつでも、再上映していいんだからね!
できる限り……行くんだからね!!

 

しっかし、もう何回も文章にまとめているのに、フーシーに関しては尽きることがありませんね。
マジ、あと10年くらいフーシーフーシー言ってそうで怖いです。
10年後も「フーシーがさあ…」とか言ってたら愈史郎っつって笑ってくれな。


フーシーの好きなところはたくさんあるけれど、私は残像のようにちらりと見えるフーシーのキメ顔が一番好きです。
(離島バトルのとことか、ビルから飛び降りて上空を確認した後とか)


フーシー、君は常にまなじりを決しているんだね。
もっと微笑んでくれても、いいんやで!
うぅ……頼む、君の笑顔が見たいんだよフーシー!!


f:id:ZenCarpeDiem:20210219083518j:image


f:id:ZenCarpeDiem:20210219083532j:image

フーシー限界にっき。小ネタへん。

日本でのロシャオ興行5.6億円突破、おめでとうございます!
このままずっとロングランしててほしい!


もう何回も見てるけど、フーシーを見るたびに「顔がいい…」って心の中でつぶやいちゃいますね。
特に離島バトル。


一番好きな離島のカットは、フーシーが木を生やしたあとに右手をぐっと引くシーンです。
(気合い入れみたいなポーズのところ)

 

もう全カットポストカードにしてほしい。
そして売ってほしい。壁に貼るから。
(ストーカーの部屋みたくなりそうやな)

 

ムゲンはフーシーを理解していない
しかし、フーシーはムゲンを理解している

 

いろんな方から出ているこの意見。
私もあるシーンを見て、確かに…、と理解を深めました。

私が特にそう感じたのはラストシーンです。

※普通にネタばれあります。まだの人は劇場へ!

 

 

「もうここから離れたくない」のセリフの後、ムゲンが目を丸くする。
そして、シャオヘイと一緒に後方へと退避する。

 

…この時のムゲンさま、「…ちっ」みたいな、すごく悔しそうな顔されてません?
おそらく、ムゲン一人だったらフーシーの行動を止めることができたはず。
それにフーシーだけが気づいていた。

 

「妖精は人間と共存するしかない。じっくり考えるといい」のセリフのところで、フーシーがふっとこぼす笑み。


私はあれを自嘲の笑みだと思っていたのですが…。
もしかしてこれ、ムゲンに向けた笑みだったのかもしれない。

 

ムゲンは「もう勝負はついた」と思っているし、何かあっても絶対に勝てると思っている。
危険だなんて一ミリも思わない。
だから、シャオヘイを連れてフーシーのそばに来る。

そんな彼らの無防備さ対して、フーシーは笑ったのではないだろうか。

 

「ばかだな」「つめが甘いな」

 

あの口元だけの笑みには、そんな意味が込められていたのかもしれない。
領界内では無二のパートナーとして、抜群の活躍をしたシャオヘイ。
しかし、あの瞬間だけムゲンの枷となる。

 

(…裏を返せば、シャオヘイのおかげでフーシーは本懐をとげることができた、ともいえる)

 


フーシーの透徹したまなざしはどこからきたのだろうか

 

どうしてフーシーはムゲンの気持ちが分かるのだろう?
どうして人の心が分かるのだろう?

 

素体がクロヒョウだから、狩人として獲物を射る目だから?


フーシーが強奪で手に入れる能力も全て理にかなっている。
霊音、霊爆、画霊。

 

音は鉄では止められない。
爆発(炎)は五行図における火剋金。
(火は金を溶かす)
画霊は乗り物(飛ぶ能力の補完)。
切り札にもなったね。

さっすがフーシー! 頭脳派なのね、あったまいいー!

 

違う、そうじゃない。

そうじゃないんだよ。

本来、知恵をはたらかせることは人間の領分だ。
人間は弱いから自然をあがめ、工夫し、努力する。

 

フーシーは龍游で最強の妖精だった。(監督インタビューより)
たいていのことは力押しでなんとかなってきたはずだ。
そんな彼が知恵の力を借りる。

まるで人間のように。

 

なぜ、フーシーはムゲンの気持ちが分かるのか。
なぜ、人の心を理解しているのか。

 

それはつまり、フーシーがそれだけ人間と関わってきたということなのではないだろうか。


人間と暮らして、人間の心を知り尽くした。
だから、人間と妖精が相容れないことも、このままでは妖精が滅んでしまうことも知っている。

 

フーシーの「考えたよ」は、「それだけ人間のことを愛していたよ」っていうことなのではないだろうか。

 

フーシーの「考えたよ」は「愛していたよ」

 

人間を愛して、人間と一緒に過ごして、人間のことを知り尽くした。
だからフーシーはムゲンのことも分かる。分かってしまう。
彼の理解の浅さも、詰めの甘さも。

 

フーシーのすべてを見抜く透徹したまなざし。
そこには人間への深い深い愛情がある。

 

ー・ー・ー・ー

 

最後に。

ロシャオヘイセンキは中国本土の話や価値観もからんでくるのでおもしろいですよね。
ツイッターで小ネタが流れてくるたびに「へー! なるほど!」とイイネボタンを押してます。
なんでツイッターってイイネ一回しか押せないんですかね。
へぇボタンなら100回まで押せるのに。
(年齢バレますね)

 

ちなみに、中国では「住む」と「泊まる」を区別しないそうです。
「どこに住んでるの?」も「どこに泊まってるの?」も、どっちも

 

「你住哪児?(ニーヂューナル)」でOK。

 

中国人は流浪のノウハウを持ち、世界の様々な場所で暮らしている。
だからどの国にもチャイナタウンがあるし、華僑なんて言葉もある。
現代でも、海亀(ハイグイ)と呼ばれる留学生たちが世界各地で学んでいる。

 

そんな彼らに対して、私は「世界をまたにかけて生きるなんてかっこいいな-!」と思っていた。
彼らの中には「もし海外へ行かなくてすむのなら、ずっと故郷で暮らしたい」と思っている人だっているかもしれないのに。

 

ちなみに、このへんはほぼ全てこの本からの受け売りです。


f:id:ZenCarpeDiem:20210127192908j:image

『貝と羊の中国人』(加藤徹新潮新書)

 

中国人の価値観がコレだけでほぼ分かってしまう、とってもお得な一冊です。
(急にテレビショッピングが始まりましたね)


羅小黒戦記という作品は、あまりスポンサーを取っていそうです。

https://m.youtube.com/watch?v=KRcqfuvWfDQ
(ネタ元『山田玲司ヤングサンデー第177回』・ニコ動有料部分を含む)

 

金を出せば口も出す。
監督はそれを嫌ったのではないか、という。

 

中国の物語には王道があります。
勧善懲悪のテンプレート。


もしかしたら、監督はその王道から抜け出したかったのかもしれない。

このへんも『貝と羊の中国人』にヒントが載ってます!

 

貝と羊の中国人 (新潮新書)

貝と羊の中国人 (新潮新書)

  • 作者:加藤 徹
  • 発売日: 2006/06/16
  • メディア: 新書