今日を摘む

ハガキでは間に合わないときの手紙ばこ。

フーシー限界オタクの嘆き。

 

羅小黒戦記に最近は週一で通っている。
好きなキャラや作品には毎週のように出会っているけれど、魂レベルで共鳴できるキャラクターには3,4年に一度出会えるかどうかなので、心行くまで狂っておきます。

 

(ちなみに、フーシーの前にドはまりしたのは文豪ストレイドッグスのあくたがわ君です。
 2017年の秋ごろでした。
 こんなにもダイレクトに「ただこの人に認められたい(愛されたい)」と全身からほとばしらせているキャラがいるのか! と胸を打たれました。
 20巻で彼は大変なことになりましたが……いやもう、どうなっても見届ける気ではいますが……。
 ○なないよね!??? え? ???)


フーシーのことを考えれば考えるほど、ムゲンについても深まっていきます。
妖精の中でのはみ出し者と、人間の中でのはみ出し者。
青を基調としながらも、つんつん系のフォルムと丸みを帯びたフォルムというキャラクターデザイン。
そしてどちらも、シャオヘイにとっての大人(先導者)という立ち場にいる。


二人ともシャオヘイを子ども扱いしていたので、彼らが撫でるのはシャオヘイの頭だった。

だが、ムゲンはラストでシャオヘイの肩に手を置く。
守るべき幼い子どもではなく、一人の仲間として協力を求める。

 

ムゲンは初め、シャオヘイに対して寡黙だった。
言葉を使わなかった。
おそらく、言葉で説明してわかるものではないと、決め付けていたのではないかと思う。
彼らの旅が深まるたびに言葉も深まっていった。
ムゲンにとって、言葉でコミュニケーションするということは一人前の存在として認めるということなのではないだろうか。


これに対になるように描かれているのがシューファイだ。
彼も寡黙から饒舌へと変わっていく一人である。

離島での話し方と、島を出ての話し方がぜんぜん違う。
その契機となるのが、数少ない彼の顔面のアップと、「お前……」の後の数秒の沈黙だ。


きっとあの瞬間にフーシーの想いを悟って、覚悟を決めたんだろうな……。


これは私の意見ですが、ぶっきらぼうでカタコトみたいなしゃべり方のときがリラックスしているシューファイ(本来のシューファイ)で、なめらかなしゃべりのシューファイは今回の戦いのために彼がかぶったペルソナなのではないかと。

 

仮面という言葉は直接的すぎですが、フーシーの願いを叶えるために決めた覚悟が、よりシューファイを饒舌に、なめらかにしているというか……。


(焚き火シーンでの「なかなかやるな」と、
 ロジュのセリフに間髪いれず返す「だめなら、時間をかせぐさ」では、発声法から違うような気がします。
 後者のほうがよりなめらかで、ロジュを安心させるような気配りも感じられます)

 

ムゲンの饒舌さは信頼を表し、シューファイの饒舌さは仲間のために自己を律した反作用…みたいな。
うまく言葉にできませんが。


物語を楽しむということ

作品には演出がある。
なので、演出の意図を読み解くという楽しみ方がある。


作品のテーマを考えてみたり、監督が伝えたいメッセージはなんだろうかと予測してみたり。
推理小説の謎を解くように物語を読み解く。
それも鑑賞法のひとつである。

 

しかし、鑑賞回数が5回を越えたあたりから、そういった挑戦的な気持ちはほとんどなくなりました。
見るたびに新しい発見、気づきはあります。

 

今はただ、フーシーを見るために劇場に通っています。
彼の声に耳をすまし、彼のおろかなほどの真っ直ぐさを見つめ、彼の生き様を目に焼き付けている。

 

フーシーの立場を応援したいわけではありません。
ただ、彼の(およそ正しいとは言いがたい)行動を、選択を、そして責任の取り方を、胸を痛めながらただ見つめていたいのです。

 

…字面だけみれば、ずいぶんマゾヒスティックな感じになってしまいますね。
ですが、フーシーの生き方を、物語を眺め続けている間、私は共に生き、共に涙し、共に傷ついている。

その時間を「幸せ」と名づけるのは、感傷にひたりすぎだろうか。

 

物語を楽しむということには、隠された謎を解くという面白さだけではない。
登場人物の心に、喜びに、痛みに、ダイレクトに触れられる。


やわらかな羽毛に顔をうずめては、心から安心できるような。
ざらりとした岩肌に触れ、思わず腕をひっこめてしまうような。


そんなプリミティブ(原始的)な楽しみ方があることを、この作品は改めて私に教えてくれました。
(物語を読んでわくわくし、ハラハラする。
 そんな当たり前の楽しさを思い出させてくれました)



最後に。

私も羅小黒戦記を見て、中国語への熱が再燃しました。


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(聴く中国語 2021年1月号より

  地元の本屋に朝イチで電話してゲットしました)


何年か前にも中国語に挑戦したのですが、簡体字になじめず挫折してしまいました。
略字はともかく、脈絡のない字の置き換えがどうにも腑に落ちなかったのです。
(なんで「茶葉」が「茶叶」になるんだ!? という)

羅小黒戦記のキャラクター名は簡体字でも繁体字でも、どっちも似合うなと思います。
ただ、フーシーに関しては簡体字のほうがしっくりくる気がします。

 

”风”は、風の中心に傷がある。

 

私も日々ツイッターなどでいろんな方の意見を拝見しています。
多くの人の気づきに触れて、私もやっと、見届けることができました。
まだ見ていらっしゃらないかたは、ぜひ、彼の傷を見届けてあげてください。